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2013年8月16日金曜日

「NLPのすすめ」 (本の紹介)

「NLPのすすめ」を手にする塚原美樹の写真
「NLPのすすめ」

今日は、ジョセフ・オコナー、ジョン・セイモア共著の「NLPのすすめ」をフォトリーディング

NLPについて知ったのは、2004年のことで、初めて買ったのがこの本です。
発行しているのは、株式会社チーム医療。
発行元の名称から推測されるとおり、NLPは医療の世界で、実践的方法を求める療法家に多くのヒントを与えました。

NLPは直訳すると「神経言語プログラミング」。
非常にわかりにくい名称ですが、その実態は、心理療法において効果をあげてきた意識、無意識、双方を対象とした様々なコミュニケーション技法の集まりと言えるでしょう。

NLPでは、天才的な心理療法家として、20世紀に成果を上げた3人が行った技法を一般化して、色々な人が色々な用途に使えるようにまとめています。
その3人の天才とは、ゲシュタルト療法のフリッツ・パールズ、家族療法のヴァージニア・サティア、催眠療法のミルトン・エリクソンです。

NLPは心理療法から生まれたものとは言え、医療以外の分野でも人と関わる仕事に携わる人には、大変役に立つものでしょう。
カウンセラー、セラピスト、コンサルタント、コーチ、講師、教師、医師、看護士、薬剤師、営業担当者、人事担当者、社内マネジャー、経営者。
人と関わることが主たる業務である人にとって、NLPのすぐに役立つコミュニケーション技法は、非常に助かるものであるに違いありません。

私が、NLPの中でも注目をしているのは、ミルトンモデルと呼ばれる、催眠療法の天才として知られるミルトン・エリクソンがよく使ったコミュニケーション技法です。
エリクソンはクライアントの無意識とコミュニケーションをはかるために、どのような反応が起きても良いように、非常に曖昧な表現方法を使ったコミュニケーションをしました。
時には気づかれないようにほのめかし、時には物語を語ることで暗に感じさせ、時には声のトーンやスピードで何かを感じさせる表現を作り、と、彼の表現は非常にデリケートであり、その解釈をクライアントに任せたものでした。

明確に表現せず、隠喩的に表現することで、クライアント独自の無意識的な受け取り方や解釈を引き出し、それを治療やクライアントの学習に活用しようとしたのでしょう。
私はヒプノセラピーを深く学ぶ中で、ミルトン・エリクソンについて研究し、本当に尊敬の意を持って、彼の技法を書籍を通じて学んできました。

実は、フォトリーディングの開発者であるポール・シーリィも、このNLPを深く追求した一人です。
ポール・シーリィに今年の6月にお会いした際、「なぜ、あなたはNLPと催眠を学んだのですか?」と質問してみました。
催眠に初めて出会った当時、彼は生物学専攻の学生だったそうです。
お母さんにたまたま誘われたのがきっかけだったということでした。
お母さんに、知人が医療催眠のワークショップをするのだけれど、参加する人が少ないので、サクラでいいから参加して欲しいと言われ、仕方なく参加したことがきっかけだったとのことでした。
それが、無意識、潜在意識などへの理解を深めるきっかけになったのだそうです。

実は、心理学へ向かって行く人の多くは、生理学を学んでいることが多く、20世紀のアメリカ心理学の大家として知られるウイリアム・ジェームスも、やはり生理学を専攻していました。
ポール・シーリィが生物学から始まり、NLPに傾倒し、人間開発やリーダーシップ研究に進んだというのも、納得ができます。

人間という存在を理解するというのは、心と体の結びつき、脳と体と心の関係を理解することでもあると思うのです。
フォトリーディングの講座を担当していると、フォトリーディングの講座には、人の心の無意識に働きかける演習やステップがあることに気がつきます。

ミルトンモデルのように、曖昧な方法で、クライアントが気づかないうちに、クライアントが変わっていくような影響を与えて行く。
フォトリーディング受講者が、なぜか受講後、人が変わったように勉強熱心になったり、読書家になったりするのは、そのせいなのかもしれません。

フォトリーディングには、エリクソンの取ったコミュニケーションと同様のものが含まれているのでは。
こんなことを考えて、とても楽しく、ますます探求心を高められるインストラクター業って、本当に面白いと思います。

2013年8月15日木曜日

「図解雑学 心理学入門」 (本の紹介)

「図解雑学 心理学入門」を手にする塚原美樹の写真
「図解雑学 心理学入門」

今日はナツメ社から出ている「図解雑学 心理学入門」をフォトリーディング

ナツメ社の図解雑学シリーズは、いろいろなテーマで出ていて、私も何冊か読んでみました。
2ページ見開きで、片側に簡単な解説。反対側に図解やイラスト、漫画などがあるという構成。
内容は充実していながら図解があって非常にわかりやすく、入門書シリーズとしては優れているのではないかと思います。

この本のように、2ページ見開きで1テーマ、または4ページで1テーマ、といった構成は、知識解説モノの書籍によく見られます。
こういう知識解説モノの本のフォトリーディングはどうすれば良いのでしょうか?

このようなタイプの本の場合、知識を確認したい、知識を習得したいというのが読書目的であるケースが多いので、予習(Step2)、フォトリーディング(Step3)のあとの復習(Step4)、活性化(Step5)では、目次をフル活用すべきでしょう。

ざっと目次を見て、興味の湧く箇所を探し、そのパーツを読んで行く。
この場合には、たとえば見開き2ページを、そのまま通し読みするので構わないでしょう。
フォトリーディングの活性化のステップでは、スーパーリーディング、ディッピング、スキタリングなど、拾い読みの方法をお伝えしていますが、大切なのは、これらの方法を使うことそのものではないと私は思っています。

要するに、自分の目的に応じて、不要なところが分かり切り捨てられる、もしくは必要なところが分かり拾って読める、ことが大切なのですよね。
なので、今回の本のように、1テーマ2ページ完結ものであれば、必要なテーマの2ページを通し読みするということは、当然あるはずです。

通し読みをしたからフォトリーディングができていない、などとは思わないでください。

フォトリーディングは、「読み方の選択肢を増やす」「目的を持って読書をする」といった大切な考え方を持っています。
こういった基本の考え方に沿っていれば、方法や手順が多少変わったとしても、問題はないのです。

そんな気持ちで、フォトリーディングを続けてもらえたら嬉しいです。

2013年8月13日火曜日

「まず、世界観を変えよ」 (本の紹介)

「まず、世界観を変えよ」を手にする塚原美樹の写真
「まず、世界観を変えよ」

今日は田坂広志さんの「まず、世界観を変えよ」(英治出版)をフォトリーディング

副題に〜複雑系のマネジメント〜とあるように、経営、組織開発系の本です。

組織開発とは、組織をいかに効果的に機能するものにしていくかというテーマであり、組織活性化や組織マネジメントなども含む概念だと捉えています。
この分野ではピーター・センゲやオットー・シャーマーなど、アメリカの専門家が注目を浴びていますが、実は、日本は組織開発はもともと得意分野です。
なぜならば、日本には昔から複合的に、全体的に、物事を捉える文化が根付いており、欧米に生まれた二元論的文化とは一線を画してきたからです。

この本では、分析より洞察が必要であるとしており、組織を複合的で常に変化してしまう複雑系のシステムとして捉えるパラダイムが必要であることが述べられています。
変化して行く全体を見て、本質を見抜くという世界観は、日本においては、武道や日本画などにも見られるように思います。

たとえば、宮本武蔵の五輪の書には、「観の目」という感覚器官の使い方について述べられており、360度方向に意識を広げるような認識力を磨くことが大切であるとしています。
物事を部分的に、分析的に把握せず、一体のものとして、すなわち洞察的に把握しようという日本の文化が、こういったところにも読み取れるのではと思います。

実は、フォトリーディングのStep3で用いる「フォトフォーカス」という目の使い方は、この「観の目」と非常に関連性が高いものでもあります。

宮本武蔵は「観の目」は、丹田で物を見るような認識方法であるとしていますが、丹田で見るとは、果たして目からの情報認識と言えるのかというと、そこは不明確と言えるでしょう。
もっと深い感覚器官の使い方について述べているようにも思われます。
同様にフォトフォーカスが単に目からの情報認識であるかというと、そうでもないのでしょう。

フォトリーディングの開発者のポール・シーリィは、「自分の中の天才性に気づくことが何より大切である」と言っています。
そして、その天才性とは「無意識の心」、言い換えれば、私たちが普段、自分では認識できない脳と身体の働きのことを指しているのです。

結構、読み応えのあるしっかりした本ですが、フォトリーディング(Step3)をしたあとは、軽く復習(Step4)。
難しいと思う本の場合には、初めから理解しようとこだわりすぎず、さらっと流して、慣れることが何より大切です。
活性化(Step5)では、拾い読みをしながら、部分的には通し読みという感じでいけば、読み応えのある本も楽しみながら速く読み進められます。

2013年8月12日月曜日

「ツイッターノミクス」 (本の紹介)

「ツイッターノミクス」を手にする塚原美樹の写真
「ツイッターノミクス」

今日は、カナダのマーケティングコンサルタントであるタラ・ハントの「ツイッターノミクス」(文藝春秋刊)を久しぶりにフォトリーディング。

去年の2月に岩手県久慈市の商工会議所と法人会の共催での講演会に招聘された際、この本の中に出てくる「ウッフィー」という、貨幣に次ぐ価値を表す概念について話しました。
ウッフィーというのは、Facebookの「いいね!」に非常に似ています。
みんなに役に立つ良い情報を発信したり、良い活動をしていると、自然とウッフィーが溜まってきて、この溜まったウッフィーがビジネスにおいても成功の鍵になるという考え方です。

このような経済概念は今までの貨幣価値経済に対し、評価価値経済と呼ばれています。

東日本大震災の後、この考え方は一時、急速に浸透したように感じました。
本当の豊かさとは何だろうと深く考える人が増えてきたためでしょう。
震災と福島原発の事故を通じて、地域社会や家族、友人など、人との繋がりが何よりも大切だと感じさせられたり、見せかけの豊かさのために地球を壊してしまうようなことをしてはいけない、と考える人が増えたのではないでしょうか。

今、世の中の人たちが「いいね!」と思うものは、単に便利な商品とか、自分のためだけになる商品、リッチな生活などではないのでしょう。
世界全体を良いものにする活動であったり、社会のあり方を正しい方向に変える商品であったり、その人の人間らしい素朴な感じ方であったり、持続可能な社会を感じさせるものに、多くの人はウッフィーをあげたいと考えるようになったのではと思います。

そうは言っても、まだ貨幣価値経済が終わったわけではありません。
ですから、ビジネスに関わる私たちは、きちんと社会に価値を提供してお金を稼ぎ、経済活動に参加する必要があります。
しかし、提供すべき「価値」は今、大きく変化しているように思います。

フォトリーディングも自分のために使う時代から、社会のために使う時代に入ってきているのではないかと思います。

2002年6月に神田昌典さんのフォトリーディング集中講座に参加したとき、エンディングで神田さんは水俣病の話をなさいました。
水俣病はもちろん公害の産物であったけれど、もし、情報が多くの人に届けられていたら、あのように被害は広がらなかったのではないか、という趣旨の話でした。

フォトリーディングを学んで、高い情報処理力を身につけたら、それを使って是非、社会のために役立てて欲しい。」

この話が私の心に、インテリジェンスワーカーとしての独立心を芽生えさせたのではないかと思います。

何か世の中のために役に立つ仕事を自分で行いたい。私は勉強や読書などが好きで、他に取り柄もなく、それだけでは何もできないと思っていたけれど、自分のその力を使って何かができるかもしれない。そんな風に思わせてくれたのです。

まだ、山のふもとを登り始めたばかりですが、高い山を登り続けたいと思います。

2013年8月11日日曜日

「僕はこんな本を読んできた」 (本の紹介)

「僕はこんな本を読んできた」を手にする塚原美樹の写真
「僕はこんな本を読んできた」

今日はジャーナリストである立花隆さんの「僕はこんな本を読んできた」(文春文庫)をフォトリーディング

立花さんは、ものすごい読書家で蔵書の保管のために家を建てちゃったくらいの人です。
この本では、立花さんの読書や仕事に関する経験が豊富に語られていて、読んでいるだけで知的好奇心を、とても刺激されます。

彼の読書術の中で、フォトリーディングインストラクターとして、とても興味深く感じたことがあります。
全部の本をきれいに読むわけではない、一部しか読まない本もある。
しかし、たいして読まない本であっても、一応、「全ページ、めくりはする」。こんなことが書かれていました。

なんだ。読書名人の立花さんも、やっぱり全ページめくってるんじゃないですか。
フォトリーディングでパラパラ本をめくるステップ3は、何も変わったことじゃないんだな〜。
昔から、読書名人はやっていたのかもしれませんね。

2013年8月10日土曜日

「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」 (本の紹介)

「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」を手にする塚原美樹の写真
「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」

きょうは池上彰さんの「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」(文春新書)をフォトリーディング。

この本、お勧めです。池上彰さんって、本当に、分かりにくい事をすごく分かりやすく教えてくださる方ですよね。

この本を読むと、私たち日本人の宗教観への理解が深まります。
日本人は仏壇と神棚を同居させてしまうような「いい加減」なところがあって、キリスト教やイスラム教などの一神教を信仰する人たちとは異なる柔軟な世界観を持っています。

一見、宗教に無関心であったり、宗教心を持っていないかのように見えますが、実はそうでもない。

日本人の多様性を受け入れ、曖昧を許容する文化、価値観は、もしかしたら、これからの世界の中で非常に注目されるべきものであり、日本は今後、世界において重要な役割を果たすことになるのではないだろうか、と思わせてくれる本です。

実は、フォトリーディングは、この日本人がもともと持っている文化、価値観と非常に近い考え方を持っています。
「完全にしっかり理解しなくてはならない」「できた、できない、読んだ、読んでいないの二分法で考えなくてはならない」のような思考法は、勧善懲悪的であり、神と悪魔を二つに分ける一神教的な世界観とも言えるでしょう。

一方、日本には「鬼」という存在が昔噺の中によく出てきますが、鬼は完全に悪い存在ではなく、時には愛すべき点も見られるような、非常に曖昧な立ち位置の存在です。
おそらく、日本人は昔から、「すべてがわるい、すべてが良い」と言ったようなことはなく、あらゆる物事には両面性があり、また、それは単に裏返しというだけではなく、同時に双方が現れることもあるようなものであることを、自然と理解していたのでしょう。
日本人の宗教観の曖昧さ、「いい加減さ」は、物事はすべて「分けて」理解できるものではないという本質を捉えたものであるように感じます。

フォトリーディングも、同様に「すべてでなくて良い」、「いい加減」を受け入れる、といった考え方を持っています。
アメリカ生まれの読書法ではありますが、ある意味、日本的な読書法であると、私は感じています。

欧米の様々な学問が、近年、東洋的な思想を取り入れ始めていることを考えれば、アメリカ発で、このような東洋的読書法が生まれていることは、世界文化の自然なトレンドであるとも言えるでしょう。

「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」表紙の画像
「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」

2013年8月9日金曜日

「奇跡の脳の物語」 (本の紹介)

「奇跡の脳の物語」を手にする塚原美樹の写真
「奇跡の脳の物語」

今日は茂木健一郎さんの「奇跡の脳の物語」(廣済堂新書)をフォトリーディングしました。

茂木さんの本は、脳のことを知る事ができるので、フォトリーダーにも非常にお勧めです。
フォトリーディングはもともと、人間の脳と身体に自然な学び方をしようという考え方で作られたものなのですから。

この本には、一度見たものをすべて覚えてしまうという「サヴァン症候群」の人たちについて、茂木さんが取材したことが書かれています。
映画「レインマン」でダスティン・ホフマンが演じたレインマンは、サヴァン症候群です。
映画の中では、レインマンの天才的な能力が描かれる一方で、社会に適応できない様子が描かれていました。

フォトリーディングのステップ3では、すべてのページをパラパラと、ただ見るということをします。
通常の場合、見ただけでは内容は何も分かりません。
ただ、絵やグラフなどは記憶に残っていると意識できるのではないでしょうか。

もし、サヴァン症候群の人が、フォトリーディングのステップ3でページをパラパラ見たら、おそらく、その人は、どこに何が書かれているかをすべて覚えてしまうでしょう。

この本の中では、毎日、図書館に電話帳をめくりに行くことを日課にしているサヴァン症候群の人の話が載っています。
彼は、毎日、電話帳をめくることで、街の人たちの様子を把握しています。
電話帳から消えた人の名前が彼には分かるのです。
それを知って、彼は、誰が引っ越し、誰が亡くなり、誰が入ってきたのかを把握するのです。

サヴァン症候群という特殊な脳の働かせ方をする人たちがいる、ということを知ると、私たちの脳は、自分で意識はしていなくても、パラパラ本を見るだけでも何かしら情報を把握しているのだろう、ということが推測できます。
それが、どのように私たちに影響するのか、証明することは今の科学ではできません。
しかし、私は、ステップ3でパラパラ本を見た事が、そのあとのフォトリーディングのステップを助けることに繋がっているだろうと思っています。

興味が湧いたら、この本、読んでみてくださいね。

「奇跡の脳の物語」表紙の画像
「奇跡の脳の物語」