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2016年12月29日木曜日

仕事の「すり合わせ」って?



仕事というのは、
一人でできるものではなく
チームで、または組織で行うものですよね。

わかっちゃいるけど、こんなことってありませんか?

 「あれ? なぜ、それ、勝手に進めちゃったの?」

 「あれ? そんなこと分かってなかったの?」

 「あれ? なぜ、それを先にやって、大事なことが後回しなの?」

上司の立場では、

 「部下がびっくりすることをしているのに急に気づいて、愕然とする」

そんなことってありませんか? (私もあります)

なぜ、こういう食い違い、
すれ違いが起きるのでしょうか。

よく「仕事の内容をすり合せる」と言いますが、では、この「内容」って具体的には何でしょうか?

あなたは、すり合わせる内容を明確化していますか? これ、結構、不明確なんですよね。

だから、せっかく時間をとってミーティングしても、結局、すり合わせはできていない。

そこで、今日は、上司と部下がすり合わせるべき仕事の内容のポイントについて少しヒントを書きたいと思います。


仕事の内容をすり合わせる際のポイント


PDCAという言葉はご存知かと思います。

 Plan Do Check Act

の頭文字。仕事を進めるときは、必ず「PDCAを回せ」と習ったのではないでしょうか。
では、「すり合わせ」はいつ行うかというと、Planのときですよね。
では、Planは何をするかというと・・・

 1. ゴール状態の共有
 2. タスクの洗い出し
 3. 工数の洗い出し
 4. 優先順位と役割の決定

こんなところでしょう。
ところが、ミーティングでのすり合わせ時に、これがきちんとできているかというと、ほぼできていないのではないでしょうか。

なんとなく話しあって、お互いに思いついたことを言い合って、

 「そういうことで、まあ、あとはよろしく」

みたいになっていると、これは・・・。

まず、上記4つをしっかりと共有しましょう。
中でも、1の「ゴール状態の共有」は、難しいですよね。

これは、どうやって行いますか?

一つの回答としては、QCDのイメージを持つのが良いと思います。

 ・Quality(品質)
 ・Cost(コスト)
 ・Delivery(納期)

です。この三つは、実はトレードオフの関係になっています。

 品質を高めようとすると、コストや納期が追いつかない。
 納期を早めようとすると、コストがかかったり品質が下がる。

ですので、このトレードオフの関係の三つを、どういったバランスで落ち着かせるべきか、また、そのバランスを判断する際の軸は何か、などをすり合わせて共有しないとならないのです。

特に判断軸のすり合わせは、個別の事例によって異なるので、難しいところなのではないでしょうか。

これを解決するためには、Checkを大事にすると良いでしょう。

Planのときに、完全に判断軸まで共有できるかというと、それは難しいでしょう。ですので、Checkのときに、個別に共有し、徐々に、チームの中で、または上司と部下との間で、判断軸が共有されるようにする。

こんな風に進めるのが、現実的ではないかと思います。

さて、ヒントになりましたでしょうか。
あなたの職場でも、「すり合わせ」やってみてくださいね。

2016年12月15日木曜日

会話が苦しい時にどうすればいい?



最近、「会話」ができないと思っている人が増えているらしいですね。

今年、「雑談」に関する本が非常に売れたのも、多くの人たちが持っている「会話が苦しい」という気持ちの表れかもしれません。

人との話をあえて分類するならば・・・

 「会話」は、特に目的を持たない、ただのおしゃべり。
 「議論」は、白黒を早くつけようとする話し合い。
 「対話」は、お互いの話を聴き、意味を共有し、理解しあいながら、新しいものを生み出していく話し合い。

つまり、「会話が苦しい」というのは、「目的を持たないただのおしゃべり」ができないということ。これって、どういうことなのでしょうか?

「会話なんて、気軽にするものだから、特別難しくないじゃない」とも言えるのですが、ちょっと考えてみると、確かに「会話ができずに困る」ということはありますよね。私にも経験があります。

そんな時、どんな気持ちになっているかと言うと・・・

 「こんなこと言ったら、場違いなんじゃないだろうか」
 「みんなの話していることの意味が、イマイチわからない」
 「話の輪に入りたいけど、なんとなくテンションが違うなあ」

こんな感じではないでしょうか。
そして、さらには・・・

 「場に馴染めないし、このグループとはつきあっていけないな」
 「理解してもらえそうにないな、ここからは距離を置こう」
 「疲れちゃうな、もう帰りたい」

となってしまうのではないでしょうか。
これは深刻ですよね。会話ができないと、人間関係が築けない状況に陥るということなのです。

実は、「会話ができる」ということは、人間関係の土台を築く上で、とても大事な事。これができないと、仕事などにも悪影響を及ぼしてしまいます。

そこで、こんな「会話が苦しい」時の対応策を、ちょっと考えてみました。


2016年12月7日水曜日

アクションラーニング解説2. 素直な質問が「ひらめき」を起こす



前回は、アクションラーニングという手法を使うと複雑な問題が解決できるということをお話ししました。問題を抱えている人の「思い込み」がはずれることで、問題解決するのだということでしたね。

人間は、自分の心を守るために「思い込み」を抱えるのでしょうね。

 「この仕事は自分でどうにかしなきゃならないけど、どうにもしようがない」

こんな「思い込み」を抱えている人がそれを手放すためには、普通、少し痛みが伴うものです。

 「誰かに相談しても助けてもらえないかもしれない」

そんな風に思うと、相談するのが怖くなり、ますます、「自分でどうにかしなきゃ」と思い込むようになります。助けてもらえなかった時の失望感とか、拒絶されたような感覚が怖いのですよね。傷つきたくないから、相談できない。つまり、やはり自分の心を守るために「思い込み」を抱えているのです。

けれど、アクションラーニングを使うと、傷つくことなく、思い込みがはずれることがあります。なぜそんなことが起きるのか、順にご説明したいと思います。

2016年11月29日火曜日

アクションラーニング解説1. 問題が解決しないのは「思い込み」のせい

チームで問題解決をしながら学習するアクションラーニングのセッション風景


たった50分の会議で、「困った、困った」と思っていた問題が、スッキリ解決できる方法があるのをご存知ですか?

「アクションラーニング」という手法です。

これを使うと、複雑で入り組んでいるような問題がほどけてきたり、動けなくなってしまった状態から抜け出すことができます。

さらには、さまざまな問題というのは、大抵は「思い込み」のせいで解決できないのだということも分かってきます。

今回は、そのアクションラーニングについて、少しご紹介をしたいと思います。


2016年11月24日木曜日

客先でインタビューする際の心構え



誰かと話をしている時に、もう一歩踏み込んで良いのかどうか、悩むことはありませんか?

ずかずかと踏み込みすぎると、

 「図々しい人だな」
 「立ち入らないでよ」
 「そこはあなたに関係ないよ」

などと思われそうで、聞きたいことも、つい飲み込んでしまう。
こんなことって、結構ありますよね。

当たり障りのない関係であれば、このままで良いのですが、あえて一歩踏み込むことで良い関係に発展することも、実はたくさんあります。

たとえば、お子さんがいない40歳を過ぎたご夫婦にお会いした場合。

 「なぜお子さんを作らなかったのかな?」
 「いや、お子さんができなかったのかな?」

などと考えることはありますよね。

もし、お子さんが欲しいけれどできないのだとしたら、お子さんがいない理由を聞いてしまうと、相手を傷つけてしまうのではないかと心配にもなります。

そこは、「配慮」が必要ですね。

初対面だったり、まだよく知り合っていないうちは、踏み込まずに、聞かずにいるのが良いでしょう。

この場合は「遠慮」します。

けれど、何度かお会いして、お食事なども一緒にして、だんだん親しくなってきたら、一度は聞いても良いのではないかと思います。一歩踏み込むことで、相手との理解が深まり、より良い関係に発展するということもあるからです。

 「ところで、立ち入ったことで失礼かもしれませんが、なぜお子さんをお持ちにならないのですか?」

ただし、質問する際には、さまざまな回答が返ってくることを想定して、「配慮」のある聞き方が必要です。

 「子供を作るチャンスを逃してしまったので、このあとは二人で生きていこうと考えています」

 「実は欲しいので、不妊治療をしているところなんだ」

 「子供はあまり欲しいと思わなかった」

それぞれの場合に、相手の気持ちに寄り添う準備が必要ですよね。けれど、同情したりしては逆に失礼に当たります。「そうなんですか」と、ただ素直に受け止めましょう。

一歩踏み込むことで、相手の状況や価値観をより理解することができます。理解できたら、それを踏まえて、相手を尊重しましょう。話題を選んだり、自分の考えを押し付けないようにコミュニケーションしましょう。

実は、この「一歩踏み込む力」は、営業担当者などにも求められる力です。

相手を分かったようなふりをしていたり、不思議に思うことを聞かないでいたり。これは「遠慮」のなす技ですね。

けれど、「配慮」があれば、遠慮して聞かないでいるよりも、一歩踏み込んだほうが、相手を深く理解できます。

お客様をより深く理解できれば、相手に合わせた提案をすることもできるようになります。

 「配慮はしても遠慮はしない」

特に、客先でインタビューをする際などには、この心構えで行きましょう。

2016年11月16日水曜日

相談しにくい時どうするか 〜 「上司に怒られにくい話し方」



30代後半の社員がいない。

今、これで困っている会社さんが多いらしいですね。バブル崩壊後の就職氷河期に採用を減らしたのが原因です。

その下の世代である20代の上が、いきなり40歳〜50歳代になってしまっていて、社内コミュニケーションが上手くいかないのです。

まあ、25歳くらいの若い人からみたら、50代のおじさんと一緒に仕事をしなきゃならないのは大変でしょうね。間に36、37歳くらいの人がいてくれれば相談できるのでしょうが、自分のお父さんくらいの他人と一緒に仕事するのですからね。話しづらいですよね。

若い人の中には相談ができず、仕事を抱え込んでしまい、ウツ気味になる人もいます。

特に大きい企業は縦社会で、「上の人の言うことに従うのが当たり前」という文化ですから、相談されるほうの側がいろいろと工夫をしないと、若い人は相談しづらいでしょう。

では、若い人はどうしたら良いのでしょうか。

相談しやすいようにいろいろと気を使って工夫をしてくれる上司ならいいですが、そういう人はまず少ない。

若い人も、自分をちょっと鍛えて、ウツなんかにならないようにしましょうね。

相談しにくいのは、相談すると「怒られる」ような気がするからじゃないでしょうか? もしそうだとしたら、「怒られにくい話し方」をするといいですよ。

ポイントは、先に結論を言うということです。

 「課長、〇〇装置の動きが変です。・・・・・・」

 「課長、体調が悪いです。・・・・・・」

こんな風に、先に結論を言ってください。これ、簡単なようで案外できていないのです。

 「課長、実は・・・ちょっと3階を見回りに行ったら・・・なんか、〇〇装置が〇〇になってて、どうしようかと思ったんですけど・・・・・」

 「課長、ゆうべ・・・家に帰ったらちょっと食事のときおかしくて・・・それで今朝・・・体温計はかったら・・・」

こんな感じになっていませんか? 上司がイラっとしてしまうのは、「要するに何が言いたいのか、さっさと言ってよ」と思うからなのです。

「結論を先に言う」で、相談しにくい状況をどうにか乗り切ってくださいね。

2016年11月9日水曜日

トランプ当選で、これからの日本はどうなるのか?

18世紀にフランスから送られた自由の女神は
アメリカの象徴になっている


いやあ、今日は一日中、大統領戦が気になって、仕事どころではありませんでした。

今朝ほど、このブログに「トランプ氏が大統領になったら、どうなるんだろう?」 と不安な気持ちを書いていたら、本当にそうなってしまいました。

アメリカ国民の中には、相当、「人のことなんて考えていられないよ、自分のことがとにかく大事」という気持ちが広がっているのでしょうか。どんどん「内向き」志向になっていますよね。

事前の世論調査が当たらなかったというのは、最後まで声を上げなかったサイレント・マジョリティが、本音を出した結果とも捉えられ、アメリカという国に渦巻く大きな「内向き」のトレンドを示唆する結果なのかもしれないですね。

この流れは、何もアメリカだけではなく、今年はイギリスだってBREXIT(EU離脱)の国民投票がありましたし、ヨーロッパ各国の中にも、一部地域が独立しようという流れが続いています。

ナショナリズムとグローバリズムが、行ったりきたりしながら、世界は少しずつ螺旋階段を上っているのでしょうか。もしくは、下っているのでしょうか?

また、アメリカの場合、シェールガスが大量に生産できるようになってきたことも、内向き路線に関係しているのかもしれないですね。イギリスがポンドを維持し、ユーロ危機の火の粉を浴びたくないと考えたのと、なんとなく似ている気がします。

まあ、自国を守るというのは国家としては当然のこと。自国内で完結できるのなら、それに越したことはないのかもしれないです。日本の江戸時代の鎖国なんて、完全に内向きだったわけですからね。

ただ、現代においては、日本は資源がないのと、非武装であること、得意分野が限られるなどのことで、内ばかり向いてはいられません。

中国や朝鮮半島、ロシアとの関係は、これからどうなっていくのでしょうか?

ISのテロ活動は、単なる宗教の問題ではないでしょう。トランプさんが、少しまともな発言になってくれればいいのですが・・・。

私も、真剣に世界情勢と日本の行く末を考えなくちゃ、という気になっています!

「対話による合意形成」を目指す社会の前提


国会議事堂


今日はアメリカの大統領選の選挙結果が出てきますね。あと、数時間です。

クリントン、トランプ、どちらが勝つのか、私も目が離せません。

さて、今回の選挙戦を見ていて驚かされたのは、暴挙暴言を繰り返す子供のようなトランプ候補をアメリカ国民の多くの人たちが支持しているということです。

ここから分かるのは、アメリカは今、いろいろな面で追い詰められているんだろうなということ。

トランプ候補を多くの人が支持している背景には、

 「他国のことなんか考えていられない。自分のことで精一杯。」

という気持ちになっている人たちが大勢いるという国家事情があるのでしょう。

今の共和党の考え方は、国際協調というよりもアメリカ覇権主義。

 「強いアメリカを取り戻そう!」

とトランプ候補がよく言っているとおりです。

他国のことや世界の行く末よりも、まず自国の利益と安全を確保しよう、ということなんでしょうね。切羽詰まった状況では、当然の考え方であるとも言えます。

一方で、「対立構造の中からは何も生まれない」と考え協調路線を取ろうとしているのが民主党。

 「壁ではなく橋を作りましょう!」

とクリントン候補が言っているとおりですね。

さて、ここで考えたいのは、こんな風に国民の意見が激しく割れている状況、また国民の多くが切羽詰まった感情を持っている中で、どうすれば多くの人が納得でき、さらには世界の発展にとってプラスになるような政策決定ができるのだろうかということ。

政治というのは、いろいろな人たちの利権への野望が渦巻いているので仕方ないかもしれないですが、与野党がお互いの揚げ足とりばかりしていて、政策についての話し合いがなされないのでは、何の意味もありませんよね。

政策について考えるのは政治家の仕事ですが、国民の間にも、政策について違う意見を持つ人たちが話し合いをしながら一緒に考える場を持つことが必要なのではないかという気がします。そういった国民の話し合いの内容が政治の場にも反映されていくような社会というのが、本来の民主主義でしょう。

これだけのネット社会ですから、今のSNSをちょっと発展させれば、リアルに、インタラクティブに、国民の間に対話の場を作ることは可能なようにも思います。国民がみなで政策について話し合ったり考えたりしながら、政策が実現されていく社会ができたら、素晴らしいのではないか、という気がします。

しかし一方で、国民に、話し合いに参加するだけの知識や考えがなくては、これまた意味がないとも言えます。

ということは、私たちは一人一人が学ばなくてはならないのですよね。歴史を学び、その経験から今や未来を選択し、判断する力を国民全員が磨く。

「対話による合意形成」を目指す社会の前提には、国民の判断力、国民全員の「知」の発展が必要なのでしょうね。

さあ、私も引き続き、歴史を学びたいと思います!

2016年11月2日水曜日

豊洲の「盛り土」問題はタイタニック号の沈没と同じ?

ここのところ毎日、テレビ、新聞などで豊洲の問題が取り上げられていますね。

8人の責任者が「盛り土」をしないと決定したということらしいですが、当事者たちが、

 「盛り土をしないとは知らなかった」

などと言っているのが、なんとも解せぬところです。

決定事項を知らないで意思決定が行なわれている状況。

こういう意思決定に、関わった職員たちが誰も責任を持とうとしないのですから、大変恐ろしい状況です。

豊洲の問題くらいで良かったとも言えるわけで、国土をゆるがすような、もっと重大な意思決定だったら、どうなるのだろうかと思います。

おそらく、こういう状態は都庁に限ったことではなく、「責任」ということが曖昧になりがちな役所では、全国的に多数見られるのではないでしょうか。

ですので、これを良い機会に、「経営者不在の組織」、つまり「後始末をする人がいない組織」における意思決定のあり方を、全国的に見直してほしいと思います。


都庁とタイタニックに共通するグループダイナミクス


さて、この東京都の問題を見ていて、どうしても浮かんできてしまうのが、タイタニック号の沈没事故のことです。

タイタニックが、なぜあれだけの大惨事になったかご存知でしょうか?

ボートと救命具が足りなかったからです。

積んでおけば良いのに、なぜ積まなかったのかというと、「沈まないだろう」と思っていたからです。

けれど、誰か一人くらいは「沈むかもしれない」と思っても良さそうですよね。

ところが、誰も「沈むかもしれないからボート積みましょうよ」と言いださなかった。

一体、何が起きていたのだと思いますか?

組織とは、本来、個人では発揮できない力を生み出すためにあるはずのもの。けれど、逆に組織になったからこそ、個人よりも愚かになってしまうこともあるのです。

 「私がやらなくても誰かがやってくれるだろう」・・・社会的手抜き

 「みんなが大丈夫と言ってるから大丈夫だろう」・・・リスキーシフト

 「まあ、このままで、このままで・・・」・・・コーシャスシフト

 「大丈夫に決まってるんだ、余計な口出しはせず黙ってろ」・・・同調圧力

こういう現象が起きることをグループダイナミクス(集団力学)と言います。

おそらく、タイタニックのチームの場合にも、こんなグループダイナミクスが生まれていたのではないかと思います。

都庁も同じかもしれません。

こういう負のグループダイナミクスは、組織を蝕み、ダメにしてしまいます。

最悪の場合には、大変な大惨事になるのですよね。

豊洲の盛り土問題は、調査結果が出て、問題がないとしても、「結果良ければすべて良し」とは行きません。

組織の体質に問題があることが見えてしまったのですよね。

我々、ファシリテーターは、こういう組織をどのようにして変えていけるでしょうか。

 「今起きていることを明らかにして全員の前に見せる」

これがファシリテーターの仕事です。

 「盛り土をしないとは知らなかった」

こんな言葉が出てこないような会議になるように、ファシリテートしないといけないですね。


タイタニック号
タイタニック号

2016年10月20日木曜日

マインドマップとの「スイート10ダイヤモンド」

ちょうど10年前のこと。

2006年10月に、とあるメールが届きました。
その内容はこんな感じです。


「マインドマップの考案者であるトニー・ブザン氏が、日本で初めてインストラクター・トレーニングをします。世界的な知的リーダーがイギリスから来日するこの機会にあなたも参加しませんか? けれど、このインストラクター資格を取得しても、あなたの会社の事業売上が上がるとは思いません。でも、もし、マインドマップのアカデミックなイメージを使って、あなたの会社のブランド力を高めたいなら、どうぞご検討ください」

 
こんなメールをくださったのは、あの神田昌典さんです。
もちろん、多数の方々に配信なさったことでしょう。
 
当初は、私も無視していたのですが、11月に入ったある日、親しい友人からメールが来たのです。

「みきちゃん、マインドマップ・インストラクターが募集されているね。きっと、面白いことになるんじゃないかと思って、僕も行ってみようかと思うんだけど・・・」

そのメールを読んで、「じゃ、私もいこっかなあ・・・」

と流されるように、本当に気軽な気持ちで、インストラクターコースに応募したのが10年前のことです。

当時のインストラクターコースの価格は、3日で84万円。
そんなにお金をかけて、何が得られるんだ・・・と思いもしたのですが。

当時は、私も創業してまだ2年でした。
友人の言葉になんとなく引きずられ、

「もしかしたら、今後のうちの会社にプラスになるかも・・・」

という感じで、
ついつい84万円振り込んだのでした。

あの友人からのメールがなかったら、私は今頃、マインドマップに取り組んでいなかったのですよね。

こう思うと、縁というのは、本当に不思議です。

しかも、当時のインストラクターコースは選抜制。
誰でも、受講できるものではありませんでした。

まあ、神田さんの会社が事業展開していく際のメンバーとしてやれそうな人、という感じだったのでしょうね。

実際に、素晴らしい経営者の方々が落選していました。
私にメールをくれた友人も、残念ながら落選。
この友人、実は、とんでもなくスゴイ人なのですよ。

一方、私は運良く当選。
そして、なぜか、2年半後には「マインドマップ戦略入門」という本をダイヤモンド社から出版することになっていました。
インストラクターとしては、最初に出版が決まったのではないでしょうか。
ありがたいことです。

その後も、のらりくらりとマインドマップに取り組んでいたのですが、
4年前に入った弊社メンバーが、

「マインドマップ事業に真剣に取り組もう!」

と、突然言い出しまして、なんとなくそちらの方向に・・・。

しかし、やっていますと、
実は、マインドマップというのは「脳にナチュラルな思考技術」。

それまで、あまり本気ではなかったのが、急にやる気が湧いてきて、

「ああ、これは本当にいいかも・・・」

という気持ちに・・・。

私は大事なことを理解するのが遅いんですかね。
その言葉がきっかけとなり、マインドマップの事業に真剣に取り組む気持ちになったのです。

それ以来、おかげさまで、
大手企業の人材開発担当者の方々にも、その可能性を認めていただき、思考整理などの目的で、研修やコンサルティングのご用命をいただくことが増えてきました。

マインドマップと私とのご縁は、本当に不思議です。
ガツガツ自分から無理やり突進していったのではなく、知らないうちに、縁が生まれていたという感じなのです。

改めて思うと、マインドマップの本質は「ナチュラルな思考技術」であり、女性として、また音楽に取り組んできた経験からしても、私には、しっくりくる気がします。

最初はピンとこないけれど、だんだんその良さが分かって、気づいたら結婚している相手みたいな感じですかね。

さて、そんなわけで、今年は、
マインドマップとの「スイート10ダイヤモンド」を作りました。

まあ、もう空気みたいだけれど、それでもご縁のあった連れ合い(マインドマップ)のためですから、今度はちょっと本気です。(笑)

 「マインドマップの学校」
 http://www.mindmap-school.jp/

まだまだ、未完成ですが、お役にたつ情報をご提供していきますので、ぜひご訪問くださいね。

マインドマップの学校
http://www.mindmap-school.jp/

2016年3月4日金曜日

研修開始時の場づくりのコツ 「研修ファシリテーターのための研修成功のポイント」(3)

「フォトリーディング集中講座」の講座風景(2014年12月撮影)
「フォトリーディング集中講座」の講座風景(2014年12月撮影)


最初が流れれば、研修は成功させられる!


2011年から「プロ講師養成講座」を開始して、試行錯誤しながら講師ノウハウをまとめています。

講座を開催しながら、最初に気づいたことが、これです。

 「とにかく研修の最初の部分さえ、成功すれば、あとは大抵どうにかなる」

みなさんも経験がおありなのではないでしょうか?

研修開始時は、たいていカタ~い雰囲気が流れています。

これは、研修開始時は、受講者の方々もまだ緊張しているからです。

 「いったい何が起きるんだろう?」

 「この先生、本当に大丈夫かな?」

など、半信半疑の気持ちで、受講している人がほとんどではないでしょうか。

そんなカタい雰囲気の中で登壇している講師というのは、それはもう、針の筵に立たされたような気分かと思いますが、プロであれば、そこを上手く乗り越え、受講者の方々を自分のペースに引き込んでしまいます。

今日は、そんな研修開始時の場づくりのコツについてお話したいと思います。


自分から心を開く


コミュニケーションというのは何でもそうですが、まず、自分から心を開かなくては始まりません。

講師の場合には、自分は提供側ですから、自分から心を開くしかないのです。

このことは、私はライブ歌手をしていた時に思い知りました。

歌手というのは、ステージに上がって歌うわけで、観客から見たら、ちょっと遠い存在のようですよね。

ですが、良いライブ歌手は、観客を巻き込んで場を作ります。

私も若い頃、本当に駆け出しの歌手だった頃には、観客に心を開くことができていませんでした。

すると、やはり伝わらないのですね。

ところが、ある時、「観客の方々に愛情を持ってステージに上がろう」と考え、それから実行してみると・・・・。

歌い終わったあと、多くの方々が私に声をかけてくださるのです。

本当に嬉しそうに、親しみを込めて、「さっきのあの歌、すごく良かったです」などと言ってくださいます。

不思議です。

自分の心構えを変えただけで、観客の反応というのは大きく変わるのです。

そうは言っても、緊張しますよね。

私の歌の師匠は、いつも「歌手なんて、パンツも履いていないんだ」と言っていました。

つまり、心を裸にしろ、ということです。

人の前で何かを発信する人というのは、自分から裸になる覚悟を持つ必要があるのですね。

この時、

 「ああ、ダメな自分を見られるのは、とても恥ずかしい」

といった気持ちを持つのは、普通の事だと思います。

そこで、私が考えたことをお伝えします。

  「歌という美は、私が作ったものではなく、もともと世界に存在するものなんだ。それを私は自分という身体を通して、みなさんの前に置くだけなんだ」

こう思うだけで、緊張はほぐれます。

自分にばかり意識が向いていると、緊張するのです。

けれど、

 「自分は自分が伝えることを、自分という媒体を通して、ただ置くだけ」

と考えると、とても気が楽になります。

こうすれば、裸になるのも怖くない。

聴衆の皆さんが見ているのは、講師であるあなた自身ではなく、あなたが自分という媒体を通してみなさんの前に置いたものなのです。

つまりそれは、世の中にある真理であったり、美であったりということです。

その真理や美を求める気持ちを持って、心を開いてみてください。

きっと、受講者の皆さんも心を開き始めます。

場の雰囲気が柔らかくなってくれば、こちらのもの。

あとは、研修はサ~ッと良い方向に流れていくはずです!

2016年2月19日金曜日

研修中の質問に答える技術 「研修ファシリテーターのための研修成功のポイント」(2)

塚原美樹
インタラクティブなファシリテーションで
研修を進めることで納得感が醸成できます


「ファシリテーション研修」と検索すると、このキーワードに一致した検索結果がたくさん出てきますが、「研修ファシリテーション」と検索しても、一致する検索結果はあまり出てきません。

「研修講師」というと、やはり「教える人」というイメージが、まだ強いのでしょうか。

「研修ファシリテーター」という概念は、まだ社会的に認知されていないのかもしれませんね。

一方で、昨今の研修の内容を見ますと、企業研修などの場面においては、近年、講師がファシリテーター型の進行スタイルで行うもののニーズが増加しているように思います。

これは、知識インプット型の研修よりも、受講者が「腹落ちした」「気づいた」など、その後の業務において行動変容に繋がり、成果に結びつくような研修が求められていることが、一つの理由だと思います。

受講者に「腹落ちした」「気づいた」となってもらうためには、講師側は、単に内容を解説するだけでなく、腹落ちさせるようなプログラムを戦略的に構成し、ファシリテーターとして研修を進行していかなければなりません。

講師側の難しさという点では、知識インプット型研修に比べると、ファシリテーター型研修は遥かに難しくなり、講師の構成力とファシリテーション能力で、研修の仕上がり状態は相当変わってくると思います。

そこで、このブログでも今後、「研修ファシリテーター」のノウハウについて書いていきます。

研修講師はもちろん、営業担当者、マネジャーなどにとっても、役立つノウハウではないかと思いますので、ぜひ、参考にしてくださいね。


質問を怖がるのは、すべてを知っていなくてはと考えるから


講師として登壇し始め、まだ経験が少ない人が思うの

 「質問されたらどうしよう」

ということではないでしょうか。

これは、講師だけでなく、新人営業担当者なども同じかと思います。

「質問されるのが怖い」というのは、自分が担当するコンテンツや商品について、自分自身も腹落ちして理解できていないことの裏返しの感情ではないかと思います。

 「分からないことを聞かれたらどうしよう」

ということなのですよね。

この問題の解決策ですが、

 「分からないです」

と答えてしまうのが一番だと思います。

要は、

 「分かったふりをしなくてはならない」

と思っているから辛くなるし、怖くなるのであり、「分からない」と手放してしまえば、何ともないことなのかもしれません。

 「そんないいかげんなことで務まるのか」

と思うかもしれませんね。

確かに、事前の準備は必要ですし、コンテンツや商品についてしっかり学習していることは当然のことです。

けれど、万全に準備したつもりであっても、まったく想定していなかった質問が来ることは、必ずあることなのです。

この場合、「すべてを自分が知っていなくてはならない」と考えると、結局は虚勢をはることになります。

虚勢をはればはるほど、相手に見透かされます。

一方で、

 「それは考えてみませんでした。いや、分からないです」

と答えると、相手は案外、納得してくれます。

その上で、単純な知識不足の場合には、

 「ちょっと次回までに調べてみますね」

と宿題とさせていただきます。

もしくは、調べても分からないようなもの、「考え」を聞かれた場合などには、

 「いやあ、これは難しい問題ですね。ううん、考えていませんでした。・・・他の方々はどうお考えになりますか? よろしければ、ちょっとご意見を聞かせていただけないでしょうか。」

のように、自分がすべて回答を出すのでなく、その場にいる人たち全員に問題を共有してもらい、クラス全体、参加メンバー全体でテーマについて考えるというスタイルでファシリテーションをする方法があります。

この方法を取った結果、講師が回答するよりもずっと良い回答が得られることが多々あります。

やはり、一人で考えるより、複数人で考えたほうが、優れた結果が出てくるのです。

講師は「教える」役割でいる時もありますが、「ファシリテーター」という役割になった方が、全員にとっての学習が促進され、役立てることもあるのです。

いかがですか?

こんな風に自分の立ち位置を変えることで、「質問されたらどうしよう」という恐怖心も無くなるのではないでしょうか。

よかったら以下のコメント欄に感想をくださ〜〜い。

2016年2月17日水曜日

SWOT分析で間違いやすいポイントとは? <経営戦略>易しく分かりやすく楽しく解説 ♪(2)

マインドマップで学ぶ「グラフィックMBA」の講座風景


「SWOT分析」で間違いやすいポイントとは?


多くのビジネスパーソンが、研修などで一度は学んだことのある「SWOT分析」。

 「SWOTくらい知っているよ、できるよ」

とお考えかもしれませんが、実際には上手に使えていないケースが多く見られます。

まず、今日はちょっと、復習からしていきましょう。

SWOT分析とは、会社など分析対象の内部環境と外部環境を洗い出し、その状況から会社の戦略方向性を見出す分析手法です。

 Strength(強み)
 Weakness(弱み)
 Opportunity(機会)
 Threats(脅威)

この4つの頭文字を並べたものがこの手法の名称で、SWOT(スウォット)と呼びます。

内部環境とは、会社の内部のことで、Strength(強み)とWeakness(弱み)が内部環境に当たります。

一方、外部環境とは、会社の外部のことで、Opportunity(機会)とThreats(脅威)が外部環境に当たります。

内部環境分析においては、主として、以下について考え、洗い出しましょう。

 人(人材に関すること)
 モノ(設備・土地・建物等に関すること)
 金(財務状況・金融資産に関すること)
 情報(知財・ノウハウ・ブランド・顧客情報・顧客やビジネスパートナーとの関係性など)

外部環境分析においては、主として、以下について考え、洗い出しましょう。

 顧客(ニーズ、現在の状況、未来の状況)
 競合(強み、強みを裏付けるもの、戦略)
 政治的環境(政策、法規制など)
 経済的環境(為替、金利、株価、景気など)
 社会的環境(文化、サブカルチャー、社会的イベント、大きな事件や事故、天災など)
 技術的環境(新技術、新発見、技術の限界など)

研修などで受講者の皆さんにSWOTをやっていただくうちに、間違いやすいポイントがいくつか見えてきたので、今日はそのうちのいくつかについて、お話をしたいと思います。


内部環境と外部環境はしっかり分け、客観的に事象を捉える

 
慣れないうちは、内部環境と外部環境がゴチャゴチャになるようです。

よく見られるのは、機会のところに「自社の商品が売れている」とか、脅威のところに「自社ブランドが浸透しない」といったことをあげるというケースです。

ケースにもよりますが、これらは自社の状況について述べていることで、機会や脅威といったものとは異なることが多いものです。

外部環境はもう少し客観的に考ると良いでしょう。

たとえば、「顧客層が現在〇〇の状況であり、そのために××のニーズがある」とすれば、外部環境の記述として適切と言えます。

客観的ですし、確かに機会という概念を表している事象です。

「自社の商品が売れている」という状況は、そういった外部環境の状況に自社の商品がマッチしたために起きた結果として考えるわけです。

このような思考をするためには、表面的に見えていることについて「なぜだろう?」と考えてみると良いでしょう。

表面に見えていることの背景に何が隠れているか洞察することで、本質的な事象が見えてきます。


強みと弱みはコインの表裏


自社の弱みは出せるのだけれど強みが見出せないというケース。

これは、弱みというよりも「できていないこと」をあげている可能性があります。

強みや弱みというのは、「その会社の特徴的なこと」という意味で捉えると良いのです。

たとえば、「新入社員を採用できていない」という弱みをあげたとします。

これは、よく考えると「社員が古株である」ということを意味しているのかもしれないですね。

古株社員ばかりになっていて、もっと新人を採用しなくては、と考えており、そのできていないことを弱みにあげるというのは、間違いではありません。

けれど、一方で、このことは、「社員がみなベテランである」と捉え直すことができるかもしれません。

もちろん、ケースによって異なりますが、弱みであると考えていることを別の面から捉え直すと、それは強みを表しているということもあるのです。

強みも弱みも、その会社の特徴です。特徴は強みにもなり得るし、弱みにもなり得る。

つまり、コインの表裏みたいな関係なのです。

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今日はSWOT分析について書いてみました。

自社について考える時にも、SWOTは一番大切な分析ですので、参考にしていただければ嬉しいです。

2016年2月8日月曜日

戦略策定プロセスを考える際のポイント <経営戦略>易しく分かりやすく楽しく解説 ♪(1)

マインドマップで学ぶ「グラフィックMBA」
マインドマップで学ぶ「グラフィックMBA」では、
受講者が壁一面にマインドマップを描きながら
戦略策定スキームをケーススタディに当てはめて考えます


このコースは、二日間でMBAホルダーが知っているような経営や戦略に関する知識のエッセンスを身につけ、使えるようにするのが目的で、ケーススタディに取り組みながら、20個以上の戦略フレームワークを学びます。

 SWOT
 4P
 5Forces
 PPM
 アンゾフマトリックス
 ・・・・・

などのビジネスフレームワークは、会社の研修などで学んだことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ところが、フレームワークの名前は知っているし、一つひとつの意味もわかるけれど、それを戦略策定にどう生かしたら良いかが分からない、というお声をよく聞きます。

そこで、今日からしばらく、この講座で私がお伝えしている戦略策定プロセスとフレームワークの活用法をご紹介します。

戦略策定プロセスを考える際のポイント


戦略策定プロセスは上位概念、下位概念を行き来しながら考える

様々な戦略策定プロセスがあると思いますが、私は以下のような順番で行うとスムーズに行くと考えています。

(1) 事業環境を分析し会社の特徴を掴む
(2) 業界を理解し会社の競争優位性を確認する
(3) マーケティングと事業戦略を検討する
(4) ドメインの設定
(5) 社会の洞察から会社の中長期目標を設定する
(6) 重要成功要因(KFS)の設定
(7) KFSを経営の要素ごとに展開
(8) 各業務目標への展開

このプロセスのポイントは、必ずしも上位概念から考えているわけではないということです。

つまり、戦略立案と言うと「ドメインを考えて、事業戦略考えて、商品ごとのマーケティング戦略考えて・・・」というように、上位概念から順番に考えると思いがちですが、これでは上手くいかないのです。

なぜならば、事業はすでに動いているので、現場で今起きていることから考えないと、上位概念を決めることは難しいのです。

「マーケティングを考えてみて、事業戦略を考えてみて、それからドメインを考える」のように、下位概念を考えながら、上位概念を決めていくというのが、良い方法です。

現実的には、上位概念を考えたり、下位概念を考えたり、と行ったり来たりしていると思います。


ドメインは「やりたいこと」ではなく「強み」を起点に考える

ドメインとは「事業領域」という意味で、顧客軸(誰に)・機能軸(何を)・技術軸(どんなふうに)の3軸で事業を定義します。

ドメインを定めておくことで、事業の方向性が明確になります。

方向性を明確にすることで、行うべきことが絞り込まれ、その分野に関するノウハウなどがたまりやすくなり、強みが構築されていくのです。

十分な「強み」があれば事業は継続できますが、「強み」が十分でない場合、他社の方が良い商品を提供することになり、顧客から選ばれず、市場退出となるでしょう。

ですので、ドメインを定め、自社の取り組むべきことを絞り込んでおくことは、とても大切です。

よく、「独立して、やりたいことをやろう」というような掛け声を聞きますが、やりたいことだけですと、強みが構築できない場合には、事業継続ができません。

事業というのは、社会にとって何かしらの価値提供ができるからこそ成立するものなので、「やりたいこと」が誰からも求められていないことだったり、他の会社のほうが強みを持っているものである場合、そもそも、その会社は価値提供できないことになります。

そこでお勧めしたいのが、「やりたいこと」よりも「できること」、つまり「強み」に焦点を当ててドメインを考えることです。

今持っている「強み」を伸ばせること、活かせる事業を選ぶほうが、やりたいからと言って0のものを伸ばすより、ずっと早く成功できるはずだからです。


ビジョンは客観的な社会洞察

上記の戦略策定プロセスでは、「ビジョン」という言葉をあえて使わず、「中長期目標」としました。

そのほうが現実的に考えることができるためです。

もちろん、いわゆる「ビジョン」と呼ばれるものを考えても構いません。

ただ、「ビジョン」というのは、自分勝手な夢のようなものではなく、客観的な社会洞察であるということを理解しておくと良いです。

つまり、世の中の流れをよく観察し、「これからこういうことが起きるな」とか、「今の社会のこういう状況をどうにかしなくては」のような思考が先にあり、それに基づいて、自社がどうすべきか、自社が社会に提供できる問題解決について考えるのです。

単に「売上〇〇億!」というようなものでは、もちろんなく、どのような状態になっていれば、様々な問題が解決できるのか、解決できている状態を具体的にイメージするといったようなことです。

・顧客はどんな状況に置かれ、自社商品によって何を得ているのか

・ビジネスパートナーとどのような関係を築いているか

・社員はどんな能力を発揮しているか

・政府・行政とどのように関わっているか

・投資家や金融機関とどのように関わっているか

・地域社会にどのように貢献できているか

・どのような技術が生まれ、活用されているか

ほかにもたくさん考えるべきことがあるでしょう。

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さて、今日は戦略策定プロセスのほんのさわりの部分だけお話ししましたが、参考にしていただければ幸いです。

次回は、SWOT分析の間違いやすいポイントについてご説明したいと思います。

経営戦略について学ぶときも
講座は常に楽しめるように工夫しています

2016年2月5日金曜日

「話さずに伝える」方法 「研修ファシリテーターのための研修成功のポイント」(1)

2016年1月3日「マインドマップ 目標実現GIFT 1日集中講座」での
塚原美樹の講義風景


講師というのは、話す仕事だと思われていると思うのですが、実は、「良い講師ほどあまり話さない」と私は考えています。

もちろん、話してはいるのですが、「話さずに伝える」方法を知っていて、それを上手く使っているということです。

「話さずに伝えるって、いったい、どういうこと?」

とお思いですよね?

今日はこれについてお話しさせていただきます。

この方法が分かると、プレゼンや講義などが上手にできるようになるだけでなく、社内のマネジメントが上手になったり、営業担当者であればお客様との折衝が上手になります。

とても役立つ考え方だと思うので、ぜひ、興味を持って読んでくださいね。

「話さずに伝える」方法


(1) 場の構造を「1対N」から「Nの集合」に変える

講師が話しすぎている時、場の構造はどうなっているかというと、「1対N」で、こんな感じではないでしょうか。

[講師] → [受講者 受講者 受講者 受講者]

こういう構造の場になってしまうと、受講者は受け身の立場で、講師から何かを受け取るだけになってしまいます。

「講師が話していることが正解です」という構図です。

この場合、受講者の反応は以下のいずれかではないでしょうか。

・A:講師の言うことに納得する
・B:講師の言うことに批判的な気持ちになる。
・C:講師の言うことがよく分からない。
・D:講師の言うことを鵜呑みにする。

もちろん、講義の中ではこういうシーンもあるのですが、この構造だけですと、全員に納得してもらうことができません。

そこで、場の構造を次のように変えるとどうなるでしょうか。

[受講者 受講者 受講者 受講者]
        ↑
        [講師]

ちょっと分かりにくい図で申し訳ないのですが、この図は、受講者が各々情報発信をしており、相互に協力しながら考えているのを、講師が下からサポートしているという構造を表しています。

これは、ファシリテーター型講義のイメージです。

この場合には、受講者は受け身の立場ではなく、能動的な立場になっています。

受講者は自分が「考えること、理解すること」に積極的に参画しているため、納得しやすくなります。

では、どうすれば、このような場の構造を生み出せるのでしょうか?

(2) 受講者に話してもらう

場の構造を、受講者が参画するようなものにするために、講師がやるべきことは「問いかける」ということです。

「このテーマについて、皆さんはどうお考えになりますか?」

いきなり、ここで誰かを指すと、指された受講者は引いてしまいますので、注意してください。

自分の意見を言いやすい雰囲気づくりが大切です。

「では、お隣の人と話してみていただけますか?」

まず、自分の考えを言いやすい、隣の受講者の方と意見交換をしていただきます。

「では、今度は全体共有したいのですが、どんな話が出ていたか共有していただけますか?」

ここでも、「あなたの意見を言ってください」ではなく、「どんな話が出ていたか共有してください」としています。

自分の意見ですと、「間違っていたらどうしよう」のような気持ちが働き、言いにくいものですが、出ていた話をするだけで良いのなら、気が楽ですよね。

受講者の方が発表してくれたら、まずお礼をしましょう。

「ありがとうございます」

その上で、いただいた意見をもとに受講者全体に話を広げていきます。

「Aさんの今の意見について、Bさん、どのようにお考えになりますか?」

「反対の意見の人は?」

「同じ意見の人は?」

「よかったら、あなたの意見を聞かせてもらえませんか?」

こんな感じです。

このようなファシリテーションをしていると、受講者同士が話し始め、お互いに意見交換をしあうという場を作ることができます。

講師が一方的に正解を話すのではなく、「受講者が共に考える」という場が生まれます。

(3) 受講者が考えたことをまとめる

ある程度、十分に受講者同士の話し合いができ、受講者がテーマに対して積極的に考えることができたと思ったら、最後に、受講者から出てきた話のポイントを講師がまとめます。

この時に、講師が行っているのは「繋げる」という作業です。

受講者は様々なことを話しますので、必ずしも、こちらが伝えたいこととは違うことも出てきます。

受講者から出てきた色々な話の中から、学習してもらいたいポイントに繋がるものを探し、上手く繋げるようにしてまとめるのです。

「つまり、ポイントは〇〇、××、●●ということでしょうか。Aさんの話は〇〇そのものですね。Bさんの意見は××と関係していましたね・・・・」

時には、こちらが想定していた以上のものが受講者から出てくることもあり、この方法で講義を進めると、大変な効果が現れることがあります。

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今日は、講義というシーンを通じて、「話さずに伝える」方法についてお話ししましたが、これは営業活動のシーンや日常の会議の場などでも使えると思います。

皆さん自身の体験に結びつけて、考えてみていただけたら嬉しいです。

2016年2月4日木曜日

問題解決は全体を見たときに起きる?

2016年1月3日「マインドマップ 目標実現GIFT 1日集中講座」 での塚原美樹の講義風景
2016年1月3日「マインドマップ 目標実現GIFT 1日集中講座」
での塚原美樹の講義風景

マインドマップに関連したとても重要な概念に「ゲシュタルト」というものがあります。

これは、全体性という意味です。

全体というのは面白いもので、部分の総和とは異なります。

たとえば、次の絵を見ると、皆さんは白い四角を認識すると思いますが、実際には白い四角はありません。

全体を見た時には白い四角が見えるが 部分を見ている時には白い四角は見えない
全体を見た時には白い四角が見えるが
部分を見ている時には白い四角は見えない

4分の3の円形が四つあり、それぞれの配置の関係により、白い四角が見えるのです。

このように、全体を見ることで初めて見えてくるものというのがあり、私たちが頭を働かせるときにも、全体性を意識することは、効果的な思考のための重要な鍵になってきます。

全体を見ることで、新たな発想が湧きやすくなったり、本質的な問題に気付きやすくなります。

「ゲシュタルト」という言葉は「ゲシュタルト心理学」などで知っている人も多いのではないでしょうか。

ゲシュタルト心理学の創始者の一人と言われるヴォルフガング・ケーラーは、二匹のチンパンジーを使った実験を行った結果から「洞察学習」という考え方を提唱しました。

ケーラーはサルタンという名前のチンパンジーを部屋の中に入れます。

部屋の天井にはバナナが吊るされており、サルタンはそのバナナを取ろうとします。

やがてサルタンは、部屋の隅に置かれた箱に注目し、その箱を吊るされたバナナの下に移動させ、その上に乗ってジャンプすることで、バナナを手にしました。

ケーラーは、このサルタンの実験の様子を見ていたもう一匹のチンパンジー、ラナにも同じ実験をします。

ラナはサルタンの真似をしたのですが、バナナを取ることはできませんでした。

皆さんはラナは何をしたと思いますか?

そうです、ラナは箱を移動せずに、バナナが吊るされた位置とは関係ない場所に箱を置いたまま、箱の上でジャンプをしたのです。

つまり、ラナはサルタンのしていることの部分しか目に入っておらず、全体が見えていなかったのですね。

この様子を見て、ケーラーは気付きます。

「問題解決は全体を見たときに一気に起きるのだ。」

確かに、部分しか見えなかったラナには問題解決はできませんでしたね。

これがケーラーの考えた「洞察」ということです。

このように、全体を見るということは、深い洞察を得ることに繋がります。

マインドマップは全体を見渡せるノートであるために、この洞察的思考が促されやすいのです。

今、身近に起きている問題について、とにかくマインドマップを書いてみましょう。

思い浮かぶことを整理せず、連想のままにどんどん書いて、さらに少し視点を変えて、また、どんどん書いてください。

もう出尽くしたと思ったら、マインドマップを少し俯瞰して眺めてください。

眺めているうちに、何かが分かってくると思います。

今まで見えていなかった繋がりに気づいたり、全体の中で何が大事なのかに気づく。

こんな風に、マインドマップを使って問題について考えることで、本質的な問題の発見、気づき、解決策の想起があるはずです。

そのコツは「全体を見る」ことです。

マインドマップを俯瞰することで
新たなひらめきや本質的な問題の発見が起きます


2016年2月3日水曜日

絵が苦手でもマインドマップはかけますか?

壁全面にマインドマップを描きながらの研修
壁全面にマインドマップを描きながらの研修は学んでいることが見える化して非常に効果的

マインドマップの講座を開催していると、

 「絵が苦手なんですけど、それでもできますか?」

というお声をよくいただきます。

多くの人のマインドマップの第一関門は「絵が苦手なこと」。

絵が苦手というだけで、マインドマップから遠ざかってしまう。

これは大変残念なことで、ほとんどは誤解なのです。

マインドマップは確かにイメージを使いますが、絵を上手く描くのが大事なのではなく、絵などのイメージを使ったほうが、頭が上手く働くから使っているということなのです。

なので、このようなお問い合わせに対して、私はいつも「大丈夫です」と自信を持ってお答えしています。

何を隠そう、実は長年インストラクターをしている私自身が、絵を描くのが苦手なのですから、ご安心ください。

しかしながら、絵が苦手、絵が下手であったとしても、イメージを使うというのは案外、スゴい成果をもたらしてくれます。

私の普段使っているノートに描かれたマインドマップには、ネットにこそ公開できませんが、本当に笑ってしまうほど下手くそな絵が描かれています。

だから、大丈夫。

絵が上手でなくても、マインドマップを上手く使えるようになりますし、絵を描けるようになります。

では、マインドマップにイメージを描くとどのような効果、効用があるのか。

そして、絵が苦手な人はどのようにして、イメージを使えば良いのか。

これについて、今日は解説したいと思います。


(1)イメージを描くことで仕事のスピードが上がる


普段は気づきにくいかもしれませんが、私たちは日々、イメージに囲まれ、イメージに助けられて生活し、仕事をしています。

たとえば、日常生活の中で分かりやすいのは、交通標識です。

「止まれ」の標識は赤い逆三角形で、白字で文字が書かれています。

また、「一方通行」の標識は青い長方形で、白字で矢印が書かれています。

もし、双方の標識が、白い正方形で、どちらも黒字で「止まれ」や矢印が書かれていたらどうでしょう。

たぶん、見分けがつかず、ドライバーは咄嗟の反応ができませんよね。

色や形がそれぞれ違うからこそ、認識がしやすく、素早く反応できるのです。

このように、私たちは、文字よりも色や形に対してのほうが素早く反応することができます。

では、ビジネスシーンにおいても、同じように色や形などのイメージを生かすことはできるのでしょうか?

私は、仕事においてもイメージは大いに活用できると考えています。

たとえば、プレゼンをする際の手元メモ。

すべてモノクロの文字で書かれた手元メモだったとしたら、どうなるでしょうか?

 「あれ? 次は何を話すんだっけ?」

と思った時、手元メモに目をやって、次の箇所を探すのにかなりの時間がかかるはず。

これでは役に立ちませんよね。

一方で、マインドマップで手元メモを作っていたとしたら・・・。

たぶん、ほんの一瞬、マインドマップをチラッと見ただけで、

 「ああ、あれを話すんだった!」

と掴むことができ、プレゼン中にもあまり下を見ることなく、オーディエンスにアイコンタクトを取りながら話を進めることができるはずです。

なぜなら、マインドマップはイメージを活用しているからです。

まず、一枚のマインドマップそのものが一つの絵に見えます。

その絵のどのあたりに何を書いておいたか、絵として思い出すのが容易です。

そして、マインドマップの各所に絵、アイコン、記号などのイメージが描かれていれば、そのイメージが目立って、チラッと見ただけで目に飛び込んできます。

プレゼン以外のビジネスシーンでも、イメージを活用したマインドマップは大いに役立ちます。

人の話をメモする時、会議のファシリテーション、本などからの情報収集・・・。

上手な絵である必要はありません。

とにかく、「視覚的に表現する」ことをしておけば、あとから見やすくなるのです。


(2)絵が苦手な人は簡単なアイコンから始める


もし、あなたが絵が苦手だとしても、何も描けないわけではなく、ちょっとしたアイコンくらいは描けるのではないでしょうか。

たとえば、下記の写真は、私が板書したアイコンの例です。

近年では仕事はほとんどメールやチャットで進められていますので、仕事のことを考えるにしても、メールやチャットという言葉はよく出てきますよね。

私はメールは封筒のアイコン、チャットは吹き出しのアイコン、というように決めて使っています。

また、ミーティング、打ち合わせなど、仕事の中でよくあるイベントを簡単なアイコンにしておくと便利です。

私はとても簡単なアイコンでこれらを表すようにしています。

どうですか?

決して上手な絵ではないですよね。

でも、こういうアイコンを使うことで、パッと見た時に分かりやすく、瞬時に捉えることができるのです。

こういうアイコンを自分でいくつか作っておけば、マインドマップをかく際にサッとイメージを入れられるようになります。

 「絵を描かなくては・・・」

のように不自由な考えにとらわれず、楽しく、気楽な気持ちでアイコンをマインドマップに入れてみてください。

これでOK!

あなたも、イメージで考え、イメージで表現するマインドマッパーです!


マインドマップで使うアイコン
絵が苦手な人がマインドマップにイメージを入れる際には
簡単なアイコンから始めると上手く行きます。


2016年1月24日日曜日

マインドマップはなぜ「考える」ことをラクにするのか?

マインドマップ プラクティショナー 1日集中講座
での板書のマインドマップ

マインドマップは頭の中で起きている現象をそのまま「見える化」するようなツールで、今までは頭の中で見えないままに考えてきたことを見ることができるため、考え続けることが非常にラクになります。

何かについて思考をめぐらせる時、ただ頭の中だけで考えていると、最初に考えていたことから、だんだん別のことへと連想が移行していってしまい、「あれ?何を考えていたっけ?」と分からなくなってしまうということがあると思います。

マインドマップをかきながら考えることで、このようなことが無くなります。

考えたことを単にメモしているというだけならば普通のノートでも良いのですが、マインドマップならではの利点がいくつかあります。

今日は、マインドマップがなぜ「考える」ことに有効なのか、についてお話ししたいと思います。

考え続けるためにマインドマップはなぜ便利なのか?


(1) 判断をせずに連想を活かせるために、新たな発想を得やすい

マインドマップのブランチ(枝)の繋がりは関連性を表しています。これは、連想の繋がりであっても構いません。

マインドマップは、普通のノートでは記載しずらい「連想の繋がり」を見える形で残すことができるため、通り過ぎてしまった以前の思考に戻り、再度考えることがしやすくなります。

ですので、マインドマップをかく時は、自分で「これは関係ない」などと判断せず、頭に浮かんだことを浮かんだままに、つまり「連想されたままに」素直に書くと良いでしょう。

この時は、言葉で書いても良いですし、イメージで描いても構いません。

特に、太いブランチのないミニマインドマップというスタイルには、思考の軸がないため、自然な連想を「見える化」するのがとてもラクです。

連想のままに、判断せずに、切り捨てずに書くことにより、ついつい行ってしまいがちな演繹的思考(トップダウン的に最初に思考軸を設けて整理しようとする思考法)から抜け出すことができます。

もともと人間の思考というのは、整理されたものではなく、様々な考えが連想によって生じるものです。

連想に従って書いたミニマインドマップは、最初、整理されておらず混沌としていますが、混沌としているからこそ、新たなアイデアや新たな発見が生まれる可能性が高くなります。

連想に従ったミニマインドマップでは、整理軸を設けた思考では排除してしまうような、一見、関連性が弱いように思える思考の種を拾い上げています。

実は、そういった一見、関連性が弱いように思える思考の種が、面白い、枠を超えた発想の種になるのです。

(2) 全体が見渡せるために、統合的思考が促されやすい

マインドマップはかいて終わりではなく、かき終えたら必ず、俯瞰してみるようにしましょう。

俯瞰して見ることで、部分ごとに考えていた時には分からなかったことが分かることがあります。

これは、さまざまな情報を「統合する」ということが頭の中で行われるからです。

ゲシュタルト心理学の創始者であるケーラーという学者は、「問題解決は全体を見た時に一気に起きる」と考えました。

別々に見ている時には気づかないことが全体を見た時に分かり、本質的な問題発見や、創造的な問題解決に繋がるということがあるのです。

マインドマップはそういった統合的思考を助けるツールと言えるでしょう。

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今日は「考える」ことをラクにするマインドマップの特徴について、2点お話しさせていただきました。

ぜひ、感想やコメントを以下に記入してくださいね。

みなさんとこのブログでお話しできるのを楽しみにしています。


整理軸を設けず連想と関連性のみで作成したミニマインドマップ

整理軸を設けた太いブランチのあるマインドマップ





2016年1月22日金曜日

講演やプレゼンで緊張せずに話をするためには

2015年9月 長野県伊那市で開催された
「国際ロータリー第2600地区 ロータリー青少年指導者養成プログラム RYLA」
の基調講演に塚原美樹がご指名を受けました

最近は、講演よりも研修の仕事のほうが圧倒的に多くなりましたが、10年近く前には、多いときには月に20本くらい講演の仕事をこなしていました。

全国各地の商工会議所などに出かけ、販売戦略などの話をしていました。

私は以前、歌手業をやっていたおかげで、講師業を始めた当初から緊張せずに話ができるほうでしたが、それでも講演前には緊張せずに話せるよう、いろいろと準備はしていました。

講演やプレゼンの前に行うと、緊張せずにスムーズに話ができる効果的なことを、今日はいくつかご紹介します。

緊張せずに話をするための準備事項


(1) 講演やプレゼンの開始前に会場をよく見渡す


会場を見渡し、受講者のみなさんのお顔をよく見ましょう。

広い会場ですと、全員のお顔は見えませんが、前方の10列目くらいまでは見えますよね。

その方々のお顔が見れればいいです。

お一人おひとりに親近感を感じるように、お顔を見ながら暖かい気持ちを持ちます。

「こんなことで緊張がほぐれるの?」と思うかもしれないですが、本当ですよ。

私はライブ歌手をしていた時に、この方法を身につけました。

「私の歌を聞いてくれるんだろうか?」と観客に疑念を持って舞台に立つと、観客も疑念を持ってしまいます。

一方で、「みなさんに美しい音楽を届けたい」と観客に愛情を持って舞台に立つと、観客もこちらに愛情を感じてくれるものです。

舞台の仕事などでは、ショーの終了後、楽屋に立ち寄ってくださったお客様や、ホワイエ(劇場のホール)でのお見送りの際に声をかけてくださるお客様がいらっしゃいました。

みなさん、ニコニコと話しかけてくださいます。

こちらから見ると知らない人です。

けれど、観客のみなさんは私を知っているのですね。

私が愛情を持って舞台に立てば、観客の皆さんも愛情を返してくれます。

なので、講演やプレゼンの前には、会場をよく見渡して、みなさんのお顔を拝見し、愛情を心に秘めて登壇しましょう。

(2) 自分が何かを提供するのではなく、自分は媒体であると考える

話をするのは自分ですが、実は、自分が何かを提供するのではないと考えたほうが上手くいきます。

「自分が何かを提供するのではない」というと、無責任に聞こえるかもしれませんね。

ですが、私たちのプレゼンや講演の内容というのは、「私だけのもの」なのかというと、決してそうではないのではありませんか。

話の内容は自分が作ったとしても、本当は、自分に今までいろいろなことを教えてくれた周囲の人たちの助けがあって生まれたものですし、さらには、世の中を動かしている「大きな流れ」(これをどう表現してよいものか・・・)の中で生まれてきたものであると言うこともできます。

すると、自分はそういった「世の中の流れの中に生まれた自然発生的なメッセージを受け取った媒体」でしかないとも思えます。

こう考えると、とてもラクな気持ちになれます。

身をまかせて、なすがままに、流れのままに、あれば良いのですから。

このことも、私は歌手業の中から学びました。

私の歌は私のものだけれど、本当は「この世界にある音楽という美」を自分という体〜媒体を通して、観客の前に置くだけでいいのだ。

こんな風に考えたとき、肩の力がスッと抜け、素直に音楽に向き合え、みなさんの前で自然体で歌うことができました。

塚原美樹の研修風景

今日はちょっとだけ、講演、プレゼンのコツをお話しました。

よかったら、コメントもください。

みなさんとこのブログでお話できるのを楽しみにしています。

2016年1月21日木曜日

人を雇うこと、マネジメントすることの難しさ



会社経営を始めて今年で12年目。
はじめは会社と言えども、個人事業に毛が生えたようなもので、
会社をサポートしてくれたのは、
同じ目線のパートナーのコンサルタント達でした。

創業4年目くらいから、アシスタントや事務をしてくれる人が必要になり、
常時、人を雇うようになりました。
その頃から、マネジメントということを意識するようになりました。

実は、私はマネジメントが本当に苦手なほうです。
正直なところ、プレイヤーとしての仕事が忙しすぎて、
マネジメントに割く時間が取れません。

また、雇っている人をどのように扱うべきか、
会社を経営してみるまで、経験もなければ、知識もない。
本当にどうして良いのか分からず右往左往です。

経営者と社員、パート、アルバイトでは、
見ているものも、意識も、あまりにも異なり、
経営者としての要望をどう伝えれば良いのか、
また、相手の要望とどう折り合えば良いのか、
本当に悩みました。

言わなきゃならない言いにくいことが、
なかなか言えなかったり。
逆に言い過ぎてしまったり。

こちらが誠意を尽くしても、裏切られるように辞められたり、
経営者からすれば、考えられないような仕事の仕方をする人もいたり、
苦い思い出もたくさんあります。

マネジャーとして、経営者として、
マネジメントにこれほど苦労しつつも、
実は、私の専門分野は「経営」であり、
私は「経営コンサルタント」なのです。

経営関連の賞審査を担当したり、
経営評価や経営診断をしたり、
時には経営者の方々にアドバイスをするわけです。

12年間、マネジメントに苦労し、七転八倒して思うのは、
マネジメントというのは、やはり机上では学べないものですよね。
実際に経験し、苦労して、痛い目を見て、
それで初めて、少しだけ分かってくる。
人を雇った経験のない人には分からないことが、少しだけ分かってくる。

私の現在のコンサルの専門分野は「育成」、つまり人材開発ですが、
人材開発、育成のための最も重要な要素は、
やはり、マネジャーの日々のマネジメントです。

マネジャーの皆さん、経営者の皆さんと、
痛みを分かち合いながら、伴走し、
一緒に考える「ファシリテーター」としてのコンサルタントを目指して
これからも精進していきたいと思います。

2016年1月19日火曜日

英語ができない人のための、洋書フォトリーディング

英語ができなくても洋書から情報を取り出せるフォトリーディング

昨年末から始まった「フォトリーディング スペシャリスト講座」
フォトリーディング集中講座をご受講済みの方のための特別な講座です。

6週連続で毎週1回、夜19:00~21:30、現実の仕事や情報処理の現場をイメージした
フォトリーディング活用の具体的なノウハウを実践しています。

今夜は、その第1回シリーズの5週目。
洋書のフォトリーディングと電子書籍のフォトリーディングを
一気に実践しました。

洋書のフォトリーディングのコツは、
「完璧に分かろうとしないこと」。

これは普通のフォトリーディングと共通点がおおいにあります。

知らない単語などが出てきても、
さらっと全体像をつかみ、あとは推測する。

これで、英語が得意でなくとも、
洋書の中から、様々な情報を拾ってくることが可能です。

図表やそのキャプションに注目したり、
ペーパーバックなら、本の背表紙などに書かれたサマリーや
推薦者の感想を読むというのも、素早く洋書の内容を掴む良い方法です。

私は英語は本当に得意ではないのですが、
それでも、海外の方々と英語でコミュニケーションするのは嫌いではありません。
近くに外人さんがいたら、すぐに話しかけるタイプです。

なぜかと言えば、外国の方とコミュニケーションして世界を広げたいし、
その人たちに興味があるからです。
もちろん、相手の言っていることが分からないことは、しばしばあります。
けれど、「たぶん、こんな話かな〜」という感じでついていく。
信頼関係ができてくれば、だいたいのことは分かるし、
分からなかったら、分からないと言えばいい。
何より大切なのは、相手をもっと知りたいという気持ちです。

洋書のフォトリーディングも似ています。
全部が分からなくても、つかめることはかなりある!
要は、その人に興味があれば、言葉が分からなくても通じ合えるように、
知りたいことがはっきりしていれば、単語が分からなくても
かなり推測ができるし、読む場所も絞ることができる。
絞り込みができてくれば、辞書を使って読むのも一つの方法です。

日本人はかなり長い期間、英語の勉強をしているのに、
洋書を見た途端に、「ムリ、読めない」となってしまう。
これは本当にもったいないことだと思います。

「洋書たいへん!」という気持ちが起きたら、
まず、フォトリーディング!
これで、かなり抵抗感も下がります。

読み方のコツをつかみ、楽な気持ちで取り組めば、
英語ができなくても、洋書を活用できますよ〜。