8人の責任者が「盛り土」をしないと決定したということらしいですが、当事者たちが、
「盛り土をしないとは知らなかった」
などと言っているのが、なんとも解せぬところです。
決定事項を知らないで意思決定が行なわれている状況。
こういう意思決定に、関わった職員たちが誰も責任を持とうとしないのですから、大変恐ろしい状況です。
豊洲の問題くらいで良かったとも言えるわけで、国土をゆるがすような、もっと重大な意思決定だったら、どうなるのだろうかと思います。
おそらく、こういう状態は都庁に限ったことではなく、「責任」ということが曖昧になりがちな役所では、全国的に多数見られるのではないでしょうか。
ですので、これを良い機会に、「経営者不在の組織」、つまり「後始末をする人がいない組織」における意思決定のあり方を、全国的に見直してほしいと思います。
都庁とタイタニックに共通するグループダイナミクス
さて、この東京都の問題を見ていて、どうしても浮かんできてしまうのが、タイタニック号の沈没事故のことです。
タイタニックが、なぜあれだけの大惨事になったかご存知でしょうか?
ボートと救命具が足りなかったからです。
積んでおけば良いのに、なぜ積まなかったのかというと、「沈まないだろう」と思っていたからです。
けれど、誰か一人くらいは「沈むかもしれない」と思っても良さそうですよね。
ところが、誰も「沈むかもしれないからボート積みましょうよ」と言いださなかった。
一体、何が起きていたのだと思いますか?
組織とは、本来、個人では発揮できない力を生み出すためにあるはずのもの。けれど、逆に組織になったからこそ、個人よりも愚かになってしまうこともあるのです。
「私がやらなくても誰かがやってくれるだろう」・・・社会的手抜き
「みんなが大丈夫と言ってるから大丈夫だろう」・・・リスキーシフト
「まあ、このままで、このままで・・・」・・・コーシャスシフト
「大丈夫に決まってるんだ、余計な口出しはせず黙ってろ」・・・同調圧力
こういう現象が起きることをグループダイナミクス(集団力学)と言います。
おそらく、タイタニックのチームの場合にも、こんなグループダイナミクスが生まれていたのではないかと思います。
都庁も同じかもしれません。
こういう負のグループダイナミクスは、組織を蝕み、ダメにしてしまいます。
最悪の場合には、大変な大惨事になるのですよね。
豊洲の盛り土問題は、調査結果が出て、問題がないとしても、「結果良ければすべて良し」とは行きません。
組織の体質に問題があることが見えてしまったのですよね。
我々、ファシリテーターは、こういう組織をどのようにして変えていけるでしょうか。
「今起きていることを明らかにして全員の前に見せる」
これがファシリテーターの仕事です。
「盛り土をしないとは知らなかった」
こんな言葉が出てこないような会議になるように、ファシリテートしないといけないですね。
タイタニック号 |
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